加害者が未成年者であった場合の損害賠償

故意または過失によって他人に損害を及ぼした者は、その損害を賠償する責任を負います。
(民法709条、不法行為による損害賠償)

ただし、未成年者が加害者になった場合は話が複雑になってきます。

未成年者に責任能力がないとされる場合には、その責任を負わないことが規定されているためです。
(民法712条、責任能力)

責任能力は11〜14歳ごろで身につくとされています。

では、未成年者の責任能力のない者の行為によって被害を受けた場合は泣き寝入りするしかないのでしょうか。

いや、そうではありません。

この場合には、加害者である未成年者の保護者ら(親権者などの法定監督義務者)の監督者責任が問われます。(ただし、保護者らが相当の注意をしていたが防げなかった場合、または保護者らが仮に注意していたとしても不可抗力で防げなかっただろう場合は除かれます。)
(民法714条1項、責任無能力者の監督義務者等の責任)

保護者らでなくても、保護者らの代わりに加害者である未成年者を監督する者も、不法行為責任を負うことが規定されています。
(民法714条2項)

また、上記は未成年者に責任能力がない場合のお話でしたが、未成年者に責任能力があった場合でも、監督義務者の義務違反と未成年者の不法行為から生じた結果の間に相当因果関係が認められる場合は監督義務者に不法行為責任が生じるとの判例もあります。
(最高裁昭和49年3月22日)

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