反則金の納付の通告に対する審査請求は可能か

車両の運転で比較的軽微な交通違反(反則行為)を行うと、交通反則告知書(いわゆる青キップ)と反則金仮納付書が交付されます。
告知書を受けた日の翌日から起算して7日以内にその反則金を仮納付することができます。

また、告知書に対して反則金を仮納付しないと、次は通告書が交付されます。
通告書では、反則金+通告書送付に要する費用(出頭の期日、場所に出頭しない場合)の合算を、通告書を受けた日の翌日から起算して10日以内に納付するよう求められます。

期限内に、

・反則金を仮納付
  または
・反則金+通告書送付に要する費用の合算を納付

することで、当該反則行為についての手続きが完了し、当該事件に関する公訴提起や家庭裁判所の審判を回避することができます。
上記は「交通反則通告制度」と呼ばれています。
この反則金の納付の通告について、行政上の不服申立てである審査請求はできるでしょうか。

答えは、NOです。

道路交通法に関して行政上の不服申立てでは行政不服審査法が適用されますが、行政不服審査法で2タイプの審査請求(処分についての審査請求、不作為についての審査請求)が規定されています。
反則金の納付の告知、通告が「処分」であれば、審査請求ができる可能性が出てきますが・・。

反則金の納付するしない、その後の公訴提起を選ぶかについては自由選択なので、処分(国または公共団体の行為のうち、直接国民に権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているもの)ではないということで、処分性が否定された最高裁判例(昭和57年7月15日 最高裁判所第一小法廷 判決)があります。
すなわち、反則金の納付の通告は処分ではないので、行政不服審査法に規定される処分についての審査請求はできないことになります。